矯正治療のメリットと一般的なリスク
矯正治療にはメリットがたくさんあります。
矯正治療はお口の中の健康状態を改善するだけでなく、人生をより良く、より幸せに生きることにもつながります。きれいな歯ならびで美味しくお食事をする、きれいな口元になることで自信がつき、より人との関わりを楽しむことができる。これらは、人生の基盤となる部分ではないでしょうか。
虫歯になりにくくなる。
歯ならびが悪いことの弊害の一つに、虫歯になりやすいという点が挙げられます。歯ならびが悪いと、きれいな歯ならびの方に比べて、汚れが付きやすく取れにくいのが特徴です。
歯ならびに問題がない方でもすみずみまで綺麗に歯磨きができている方は少ないですが、歯ならびが悪い方はなおさら、ご自分で綺麗に歯磨きすることが難しくなります。歯ならびが悪い分、歯と歯の間の汚れを取り除く工夫が必要になり、歯ブラシをどのように動かしても届かない部分ができてきます。歯ならびが悪い方はとりわけ丁寧に時間をかけて歯磨きをする必要がありますが、ご自分の力だけではなかなか難しいのが現実です。
歯ならびをきれいにすることで歯を磨きやすくなり、自然と虫歯も出来にくくなります。また、歯科衛生士が丁寧にブラッシング指導を行いますので、歯磨きのテクニックも向上することができます。
歯周病・歯槽膿漏を予防できる。
歯ならびが悪いと歯茎の周りに細菌が潜みやすくなり、それにより歯石がたまり、歯周病を誘発します。
歯ならびが悪いと、歯と歯の間、歯の裏側などに歯ブラシが届きにくく、また鏡を使ってもよく見えないため、歯の裏側などに歯石が付着していても気づきにくくなります。そうして歯石が溜まっていくと、歯周病になる確率はぐんと高まります。
歯周病になると歯茎が不安定になり、さらに歯ならびが悪くなったり、歯が抜け落ちたりすることにもなりかねません。歯ならびが悪い、それにより歯周病になる、そしてさらに歯ならびが悪くなる、という悪循環になりかねませんので、なるべく早めに矯正治療をし、歯ならびをきれいにしておくことをお勧めします。
正しい咬み合わせになることで、より食事を楽しむことができる。
咬み合わせが良くないと、食べ物がうまく噛めないので、食べ物をきちんと味わえなかったり、よく噛まずに飲み込むことで消化器に負担がかかってしまうことがあります。また、唾液の量が減ったりして、消化されにくいまま食べ物を飲み込んでしまいます。
お子様の場合、消化されないまま食事をしていると、成長を著しく阻害する原因にもなります。
歯ならびを綺麗にし、正しい咬み合わせにすることで、しっかり噛んで食事ができるようになり、より食事を楽しむことができます。また、唾液の分泌が促進されることで、食べ物の消化吸収が良くなる効果も期待できます。 いつまでも自分の歯でご飯が美味しく食べられることは、この上ない幸せです。お食事は一生のことですので、美味しく食事を楽しめることは、長い目で見てとても大きなメリットと言えます。
顎関節症を防止できる。
歯ならびが悪いと、歯と密接な関係を持つあごにも悪影響があります。
上下の歯をうまく噛み合わせることができず、あごに掛かる力のバランスが悪くなり、それによりあごが歪んだり、あごが痛んだりするのです。
たとえば右の歯がうまく噛み合わず隙間が開いていると、だんだんとあごが右上がりに変化します。すると必然的に左のあごが下がることになり、あごに歪みが生じます。
特にお子様の場合はあごなどの骨格が成長している段階ですので、あごが歪むことで、正常な骨格形成に影響が出てきます。早めの矯正治療により、そういった悪影響を取り除くことをお勧め致します。
発音障害を予防・改善できる。
歯ならびが悪いと、舌が適切に動かず、発音が悪くなることがあります。左右上下のどこかの歯が舌に引っかかり、思うように舌を動かすことができず、「さ行・た行・ら行」の発音がしづらかったり、発音時に空気が漏れてしまうことがあります。また、あごの歪みの影響で、特定の音を出すと痛みが生じることもあります。
こういった発音障害は、特に発音の仕方を覚える時期のお子様にとっては一生に影響することがありますので、不安がある親御様は、ぜひ矯正治療を検討していただきたいと思います。
また、既に発音障害を持っている方も、矯正治療により改善する可能性がありますので、一度ご相談にいらしてください。
笑顔に自信を持つことができ、人間関係に積極的になれる。
歯は笑ったときによく見えますので、歯ならびに自信がないと、笑うことに抵抗を感じる方もいるかもしれません。また、会話をするときにも、歯ならびに自信がないことで人との関わりを積極的に楽しめなくなる方もいるかもしれません。歯ならびが悪いことによるコンプレックスは、周りが思う以上に、人間関係の形成に深刻な影響があります。
歯ならびをきれいにすることで、人と笑い合ったり会話したりすることを心から楽しめるようになり、積極的に人との関わりを楽しめるようになります。
心理的・社会的悪影響を解消し、より強い自信と自尊心を身につけることができる。
日本では欧米ほど歯ならびが重要視されていませんが、やはり見た目の印象というのはさまざまなことに多大に影響します。成人の方はもちろん、まだ小さいお子様もやがて外見を気にする年頃がやって来ます。
その際に、歯ならびが悪いことによって自信や自尊心に悪影響が生じることは、とてももったいないことです。
また、今後日本でも、歯ならびの状態が健康管理ができているかの判断材料になることもありますので、社会的評価にも影響する可能性があります。
矯正治療は、そういった心理的・社会的悪影響を取り除き、自分に自信をつけるための大事なステップです。
親御様はお子様のために、成人の方はご自分のために、矯正治療によって、より強い自信と自尊心を身につけていただきたいと切に願っております。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 歯の動き方には個人差があります。そのため予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。
したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらにかかりつけ 歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。 - 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
- 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや 咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。